1997年度春学期SYLLABUS

コース名など :

情報処理技術と心理学 3,4年春学期2単位

 

担当教員 :

久米弘

 

概 要 :

高度情報化社会において的確に情報を処理するためは、コンピュータを道具として活用することが不可欠である。この場合、コンピュータは人間の情報処理活動を補う目的で利用される。従って、人間の情報処理の特徴を理解することにより、コンピュータの利用方法に幅が生まれ、より深い活用が可能となろう。そこで本講義では、まず、人間の思考・行動のメカニズムについて心理学の立場から概説し、さらに、人間の思考を支援する情報処理技術と人間との関わりについて論ずる。

 

テキスト :

村田孝次「教養の心理学」培風館

 

参考書 :

その他、必要に応じて授業中に指示する。

評 価 :

毎授業中・後の提出物、および、最終試験の成績を総合的に判断して評価を行う。

 

Office hours :

基本的に午前8時30分から午後5時まで。ただし、事前に電子メールで必ず予約すること。

 

その他 :

残念ながら、与えられた時間数だけで心理学の基礎を教授することは非常に困難であると思われる。そこで、本講義では、重要と思われる項目を精選して講義することにした。後述の授業計画に示したように、テキストの流れと講義の進行は必ずしも一致していないのはそのためである。
「教養の心理学」は大学のいわゆる一般教養課程(1・2年生)向けに書かれており、青森公立大学の学生諸君ならば十分に読みこなせると思われる。授業計画には、各講義の内容と共に、それに対応するテキストの章の見出しを→記号で示した。授業に先立ち、必ず予習しておいて欲しい(最悪でも1回は読むこと)。授業は、テキストの該当箇所をある程度は理解しているものとして進める。
なお、授業計画に示された◎記号は、講義中あるいは講義終了後に提示する課題を示している。予習の参考にしてほしい。解答は、何らかの形で提出してもらう。

 

集中講義形式に対応する授業計画の変更 :

配布済みのシラバスは、毎週の講義を前提として作成された。1997年度の講義は集中講義形式となったため、一日当たりの連続する時間数に応じ、次表のように授業計画を変更した。ご了解願いたい。

 

授業計画 :

1.心理学の対象と研究方法(予定日:7月29日)

 

2.人間の情報処理の特徴(予定日:7月30日)

 

3.学習の道具としてのコンピュータ(予定日:7月31日)

 

4.課題解決とストラテジー〜其の壱〜(予定日:8月1日)

 

5.課題解決とストラテジー〜其の弐〜(予定日:8月2日)

 

最終試験 :

最終試験は、テキスト「教養の心理学」、配付資料、自筆のノートのみ持ち込み可とする。詳しくは、試験前に指示する。

 

参考 :

1995年度・1996年度の最終試験問題は以下のようになっていた。科目選択ならびに学習の参考にしてほしい。

 

1995年度期末試験問題

問1 人間の情報処理に関して、次の問いに答えよ。

(1)その特徴を列挙せよ。
(2)前問で列挙した特徴は、どのような場合に長所となり、どのような場合に短所となるか。それぞれについて分析してみよ。

問2 ヴィゴツキーによると、発達には2つの水準がある。一つは、その人が独力で達成可能な発達水準であり、もう一つは、大人や仲間の援助や助言のもとに協同で達成できる水準である。そして、この2つの水準の隔たりを「発達の最近接領域」と呼ぶ。そして、まわりの援助によって達成可能となった水準は、ごく近い将来、独力で達成可能となると考えられることから、独力で達成できる水準は「現在の発達水準」であり、援助によって達成可能となった水準は「可能性としての未来の発達水準」と呼ぶこともできる。このことを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)発達の最近接領域を拡大させるような援助の実例を探せ。
(2)前問(1)で探した例において、「現在の発達水準」は何か。
(3)前問(1)で探した例において、「可能性としての未来の発達水準」は何か。

問3 本講義で学んだことを用い、銀行・郵便局等の現金自動支払機のインターフェイスを比較してみよ。さらに、それぞれの改善案を示せ。

 

1995年度追試験問題

問1 本講義では、人格と知能をそれぞれ次のように定義した。これを踏まえ、以下の問いに答えよ。

人格:外部環境に適応する内的なpotentiality
知能:まだ解き方を知らない問題を解ける能力

(1)それぞれの共通点を列挙せよ。
(2)それぞれの差異点を列挙せよ。

問2 例えば、種子植物の「花」は受粉によって種子という子孫を作るための生殖器官である。しかし、子ども達(あるいは大人でも)は、おしべ・めしべの存在や機能にではなく、花びらの存在に着目し、「目立つ、きれいな花びらがあるのが花だ」と表現しうるような誤ったルールを持ちがちである。本講義では、学習者が自力で作り上げてしまっているこのような誤った知識を「ル・バー=システム(土着の知識信念体系)」と呼んだ。このことを踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)「操体法」のルール(原則)を記述せよ。
(2)「操体法」を学習する場合、学習者があらかじめ持っていると推測できるル・バーとしてはどのようなものがあるか。できるだけたくさん考え、列挙せよ。
(3)何人かの学習者は、「操体法」の実演を目撃することで「操体法のルール」を信用するにいたった。これらの学習者は、あらかじめ持っていたル・バーを組み換えて、あるいはル・バーを捨てて、新しいルールを内在化させたと考えられる。一方、「操体法」の実演を目撃しても、信用できないと主張する学習者も何人か存在する。彼らは、新しいルールを内在化できなかった、あるいは内在化を拒否した、と考えられよう。それでは、これら「信用できないと主張する学習者」に、「操体法のルール」を信用させる方法を考えてみよ。

 

1996年度期末試験問題

問1 「年間降水量(平年値)が世界で最も多い都市(観測地点)はどこか」という問いに関して、以下の問い(1)〜(3)に答えよ。

(1)標記の問いに対して、生産的問題解決を行うために必要な知識をルールの形で記述してみよ。
(2)前問(1)で列挙したルールのそれぞれに対して、少なくとも1つ実例を探し記述せよ。
(3)前問(1)(2)を踏まえ、標記の問いに対して生産的問題解決を行ってみよ。

問2 例えば、種子植物の「花」は受粉によって種子という子孫を作るための生殖器官である。しかし、子ども達(あるいは大人でも)は、おしべ・めしべの存在や機能にではなく、花びらの存在に着目し、「目立つ、きれいな花びらがあるのが花だ」と表現しうるような誤ったルールを持ちがちである。本講義では、学習者が自力で作り上げてしまっているこのような誤った知識を「ル・バー=システム(土着の知識信念体系)」と呼んだ。
さらに、ル・バー=システム(ru-bar-system)には、次のような特徴があった。

(1)自己の経験の範囲を越えて適用する
(2)必ずしも正しい解決をもたらさない
(3)現象的に顕著な性質や部分に着目する
(4)意識せずに判断の根拠となる

これらのことを踏まえ、以下の問い(1)〜(6)に答えよ。

(1)ru-barの実例を1つ挙げよ。ただし、久米が授業や電子掲示板に取り上げなかったものに限る。
(2)前問(1)で挙げたru-barに対応するruを示せ。
(3)前問(1)で挙げたru-barのegを1つ以上探せ。
(4)前問(1)で挙げたru-barのeg-barを1つ以上探せ。
(5)前問(1)で挙げたru-barの適用限界を明らかにせよ。
(6)前問(1)で挙げたru-barの自成に対して最も寄与した現象はどんなものか推測せよ。

 

1997年度最終試験問題(案)

問1 例えば、種子植物の「花」は受粉によって種子という子孫を作るための生殖器官である。しかし、子ども達(あるいは大人でも)は、おしべ・めしべの存在や機能にではなく、花びらの存在に着目し、「目立つ、きれいな花びらがあるのが花だ」と表現しうるような(誤った?)ルールを持ちがちである。本講義では、学習者が自力で作り上げてしまっているこのような知識を「ル・バー=システム(土着の知識信念体系)」と呼んだ。
さらに、ル・バー=システム(ru-bar-system)には、次のような特徴があった。

1)自己の経験の範囲を越えて適用する
2)必ずしも正しい解決をもたらさない
3)現象的に顕著な性質や部分に着目する
4)意識せずに判断の根拠となる

これらのことを踏まえ、以下の問い(1)〜(5)に答えよ。

(1)ru-barを1つ挙げよ。
(2)前問(1)で挙げたru-barに対応するruを示せ。
(3)前問(1)のru-barが、意図的計画的な教授活動に対して障害状況となっていることを、実例を挙げて示せ。
(4)前問(1)と(2)のru-barならびにruに関して、
1)それぞれのegを探し出し、
2)講義中に示した2×2分割表に従って分類してみよ。

(5)前問(1)で挙げたru-barをruに組み換えるためには、どのようなストラテジーが有効だと推測するか。根拠とともに示せ。